秋休みダニエル子供劇場
『野ねずみ将軍第三話』
以前飲み屋で会って以来、皆が酔いつぶれた後
どこからともなくちゅう将軍が来て酒の席を共にしてくれる
事が多く、一人では行かないものの誘われればケ芝は
よく飲み屋にいていくようになった。
もちろん酒が目当てではない、この小さな飲み友達に会いにだ。
この日は隣の倭国からの献上品の一つである
『チバケンサン・ピーナツ』
というのを諸葛亮からお裾分けしてもらったのを手土産に
来ていた。
野:「もぐもぐ・・・・なかなか、このチバケンサンとかいうのは
旨いな。もぐもぐ。」
例の如く口いっぱいに大きなピーナツを頬張り
旨そうに食べる野ねずみ将軍を見ながらしかし剥く手は止めず
ケ芝は温かい目で見守った。
「将軍、まだまだありますから沢山召し上がってください。」
「すまないな。」
ケ芝は大きな手で器用に殻を割り薄皮を剥ぐ。
将軍が食べ終わったら一つ手渡す。これが中々楽しかったのだが
ちゅう将軍は悪いと思ったのだろう、すまなそうに言ってきた。
「私ばかりでは悪い、手を止めて食べなさい」
「いや俺は・・・」
「旨いぞ?」
「い、いえ、本当に平気です」
食べるより食べてもらうほうが嬉しいと、ケ芝は
ちゅう将軍に説明した。ちゅう将軍は納得しかねる顔だったが
やがて、わかった。と再びポリポリと食べ始めた。
黙々と剥いていたケ芝だったが、手がゆるやかに止まりだした。
やっと食べる気になったかとちゅう将軍はケ芝を見上げるが
どうやら違うようで言いにくそうに口を開け閉めしていた。
「どうした、言ってみなさい」
「・・あ・・えーと・・・ご結婚・・してらっしゃるんですか?」
「え?ケ芝が?」
どうやらポリポリいう音でうまく聞き取れなかったらしい
的外れな返答にケ芝は俯いて再び口を開いた。
「将軍はその・・・好きな人っていうかネズミはいらっしゃるんですか?」
「好きなネズミ?また冗談言って・・」
ケ芝はどうもこの小さな妖精をつかめないでいる。
「俺は・・・戦場(とそこにいる人)が恋人って言うか・・」
ごにょごにょと告げるケ芝に、ちゅう将軍は眉根を寄せた。
「ケ芝、現実はそうもいかないぞ」
「それに、大きい私の兄はあきらめるのか?」
「あ、あきらめ・・・」
ケ芝の頭の中には愛しい銀糸の人でいっぱいである、その為
「−の兄」部分が又も耳に入っていなかった。この二人の考えのズレが
戻る日はいつなのか。
「あきらめる以前にスタートラインにもいないっす・・。」
「・・黙ってれば、別に好きでも迷惑はかかりませんよね・・。」
弱気な発言をするケ芝に、ちゅう将軍はすまなそうな顔を向けた。
「ケ芝・・・すまない」
それも諦めろと言われるのだろうか・・ケ芝は唇を噛んで
小さな野ねずみが言葉を継げるのを神妙に待つ。
だが
「ピーナツ取ってくれ。」
そう言って小さな手を出す己が道を行く野ねずみに
ケ芝は涙するのだった。
野ねずみ将軍、やはり脳みそもネズミサイズな様子。
おまけ
とうとう現れたヴァネス。
かなりのウザさである。
そして今回もまた出た野ねずみタモリ。
「髪切ろっかな・・」
「え、切ったばかりだろう?」
「切ってません!!」
これ↑ログとりそこねたんですよ、
ガックリするケ芝いたのに・・すいません;;
あと何故戸の外に趙将軍がいたかというと
この二人は互いに認知しているのか?ということで
アツコと三条さん(オヨさんは離席してた
で妄想してみた。
趙:「おや。」
野:「やぁ。」
ケ:「し、知ってるんですか(互いを)!?」
W趙:「いや、初対面だが?」
てなったら面白いねという事で、オヨさんが趙将軍を描いて
くれたんです。