写真
最新型のデジカメを握り締めて指示を飛ばす関興に、被写体は
必死でそうしようとするも美意識の高い関興の要求に答えるのは中々
難しい。
それでもケ芝が文句一つ言わないのは隣に趙雲がいるおかげだった。
むしろ、撮影が延びればいいとさえ思っている。
「わかった、子龍叔父上はいいがケ芝の空中捻りが画面に入らない
のはもう諦める。お前も立ってるのでいいよ、ったく。」
どうして趙雲はただ立っているだけなのに自分にはそんなよくわからない
要求がされるのか。
憮然に思いながらもお許しが出たので
隣でほっとする趙雲を見つめた。今日も彼は凛として綺麗だ。
「あー・・・じゃあ、スタンダードに行くか。素人なお前でもできっだろ
ホラ顔ひっつけろ。」
「えっ・・・!!!?ちょ、えぇ!!??か・・ぇぇえ!??」
「早くしろ、グズ」
ケ芝が嬉しいけど無理すぎる!!!と困惑して固まっていると
「これでいいか?」
趙雲が少し背伸びしてぴたっと頬をひっつけてきた。
あぁ・・・もう、このまま死ねる。
「すいませんね叔父上、おらケ芝早く肩抱け。」
な ん だ と 。
「か、かかか、肩を抱くだと!!?」
「そんなわめかなくても聞こえてるっつーの。さっさとしろよ。ホラ、撮るぞ」
関興がレンズをむけるも
「・・・・っ!・・・・・・っ!!」
ケ芝の手は震えながら趙雲の肩の上を行ったり来たり。
「・・・・・・・・。」
これはこれで面白いから撮っておこう。
意を決してえいやっ!と趙雲の肩に手を置こうとした瞬間シャッターをきった。
「はい、お疲れっしたー。」
呆然とするケ芝を横目に関興はしれっと終わりを告げた。
確かにいくらケ芝×趙雲がメインだとしてもタイトルは
『ダニエル祭』なのだ。自分だってダニエルの作品の一部である。
それに小さい頃からお世話になったこの麗しの叔父上にそうそう手を出されるのも
あまりいいとは思えないしケ芝をからかって遊ぶのは趣味の一つである。
恨めしそうにこちらを睨むケ芝に気付かない振りをしながら
趙雲を労っていると、後ろでずっと見ていた平安が近づいてきた。
「あんなのでいいのか?普通すぎてつまんねーだろ、つか俺を写した方が
人気と話題性あがるんじゃないか?」
とうとう来た・・とケ芝が身構えていると
「あ、じゃあ兄上とケ芝で写ればいい」
さらりと趙雲が爆弾発現をした。
ケ芝は全力で拒否する叫びが出そうになったがなんとか口の中で
噛み殺した。それに、美しいものしか俺のフレームにインさせないと
関興は言っていたことがある。きっと拒否するだろう。
しかし・・・
「それいいっすね。」
関興はニヤリと悪い笑いをしながらこちらを向いた。
こいつ・・・裏切りやがったな。
美しいものより自分の愉悦を先取りした関興に怒りが込み上げていると
「しょうがねぇな、本当お前等俺がいなけりゃいけないんだもんな」
さっさと近づいてきた平安に事もあろうに腕を組まれた。
全力で殴りたいが嬉しそうにこちらを見守る趙雲を見ていると
そうも出来ない。
なんとも悲しい事に趙雲にとってはケ芝より平安の方が大事なのである。
口の中を噛み締め拳を握り耐えていると
「ケ芝、表情硬い。笑ってよ」
出来る訳が無い。
全身から怒りやらなんやらが滲み出るのすら押さえられない。
しかも怒りに拍車をかけるのは関興の顔。
一見無表情だがそれを装っているだけで眼の奥が楽しそうに歪んでいる。
くそ・・・俺で遊んでやがる。後でみてろよ。
するとそれを察した関興が趙雲に
「叔父上、あいつ笑う気ゼロみたいですけど、笑顔の方がいいですよね?」
「笑って、ケ芝。」
「オイコラケ芝、笑顔はこっち向いてだ!あと鼻血ふけよ」
しかし無造作に手の甲で拭いながらこちらを向いた顔はもう獣のような
鋭い顔になっていた。
なんてわかりやすいやつ。
「うーん・・中々難しいものだな。・・そうだ、関興お前も入ってはどうだ」
「え、俺?」
「そう、お前達仲いいしケ芝も笑顔になるんじゃないか?」
いや、これは仲いいと言うのだろうか・・・しかし叔父上にカメラを
貸すのも別に嫌ではないしカメラマンとなることでケ芝の笑顔がカメラの方に向く。
しかしその面白い様が見れないのが残念だ。まぁ再生すればいい話しだが。
「・・・しょうがないな、俺入った方が芸術性も増すだろうし?」
ということで関興も入った。
「関興お前、後で覚えとけよ」
小声でケ芝にすごまれたが
「あ?なんのことだ」
しれっと返しておいた。
「撮るぞー」
という趙雲の声にそちらへ目を向けるが
スタジオの開いた戸のところに、関興は赤いひらひらを見つけて舌打ちをした。
「何やってるのですか子龍叔父上」
「あ、張苞。お前も入りなさい、記念撮影だ」
「はぁ・・・いいですけど。」
そう言って混ざろうとする張苞に関興は露骨に嫌な顔をした。
「お前どの面下げて俺のカメラに写る気だ、ぁあ!?」
「俺だってお前の思い出の一部になるつもりは無いが子龍叔父上の
誘いは断われるわけが無いだろ。誰が好き好んで写るか。」
「んだと!?」
「はい、こっち見てー」
関興は即このデータを消したという。
あとがき
一人しか笑顔じゃない集合写真。
一日目のエチャにて出来た話をやってみました。
初老ズの皆さんありがとう、こんな形になりました。
関興髭描き忘れてたなー。それよりこの中でサモハンが一番
似てる気がする罠。